精神薬から離脱するための ハームリダクション・ガイド

イカロス・プロジェクト(The lcarus Project)
フリーダムセンター  (Freedom Center)

不思議な写真と文字が多く読みにくそうだけど、良い本です

冊子の内容がわかる主な項目

精神医療におけるハームリダクションリダクション 

「精神疾患」と「精神医療」を客観的にとらえるために

精神病患者の心の自由と権利宣言

精神薬は本当にやめられるものなのか

政治がらみの減薬問題

精神薬作用のしくみ脳内化学物質を薬で治すとは

誰のせい?自分が悪い?この身体?それとも

脳神経への精神薬の作用

精神薬の効き目とは?

身体を害する危険性

離脱症状が身体と脳神経に及ぼす影響

どうして精神薬をやめたいの?

実害を抑えながら服薬を継続する

離薬したいのに医師の許可が降りないときは?

減薬を開始する前に

不安感に立ち向かう

必要な時にだけ飲む薬

精神薬なしで乗り切る手段とは

離薬は徐々に薬漬けの人には何をしてあげられる?

将来のために

『ハームリダクションリダクション・ガイド』は52ページの薄型の冊子です。

アメリカ人の当事者、 Will Hallが執筆し2012年に米国マサチューセッツの社会活動団体フリーダムセンターが発行しています。

冊子はインターネットからも無料でダウンロードでき、各国の言語に翻訳されていて非営利目的である限り自由に配布することが許可されています。

https://www.willhall.net/files/ComingOffPsychDrugsHarmReductGuide-Japanese-ZinePrint.pdf

複数のリスクにバランスよく対応し実害を減らすために

メンタルサバイバーチャンネルでは向精神薬の減薬について考える会を、すでに4年近く続けていますが、当事者の方々の置かれた状況は当たり前ですが本当に一人一人異なっています。

医療に対する考え方も違いますが、生理的に見ても薬の効果や副作用、減薬時の離脱症状もとても個別性が高いことをいつも実感しています。

さてこの冊子のタイトル「ハームリダクション」という言葉で有名なのはやはりオランダの薬物依存政策です。

オランダでは厳しい政策で薬物を完全に追放することは不可能だという前提に立ち、麻薬注射針の回し打ちによるHIV感染症防止のために政府が注射針を薬物使用者に提供しています。そして薬物使用者の拘留施設をもうけ、カウンセリングや社会復帰プログラムを実行するといったようなことが行われています。

そしてこの冊子は、向精神薬からの離脱を「ハームリダクション」という概念を使って解説したガイドブックです。ハームリダクションという言葉は、日本語では「実害軽減措置」と訳されています。

これはいろいろなことに現れてくるリスクが1つだけでないことに気づき、1つを徹底的に押さえ込むことに囚われるのではなく、複数のリスクに着目し、一番良さそうな結果が出る方法を柔軟に模索するという思想と言って良いでしょう。

この冊子の魅力は、向精神薬の安全な減薬と回復を基本テーマにしながらも、様々な角度から薬のことを考え、決して答えを1つだけに絞ったり、白黒を無理につけようとしないところではないかと思います。

この思想はまず人々の多様性を本当に認め体験や反応は皆それぞれであるという原則を大事にすることです。そういう前提で読むと回復のために自分の出口を見つけていくためのガイドブックとしてとても頼もしい情報が網羅されていることが見えてきそうです。

一人ひとりが異なる存在であることを尊重し回復を模索する

精神科の症状や薬の副作用、離脱症状によって辛い思いをした場合、あるいは心理的な療法によって受けたメリットとリスクについても、それぞれに体験も、その後の評価も異なっています。

そしてそれが強烈な体験であればあるほど、自分の体験したことは、他の人にも絶対そうであり普遍性のあるもの感じられるようなのですが、客観的にみて他人に自分の経験や価値観を当てはめることは不可能に近いことのようです。

この冊子の魅力は、向精神薬の安全な減薬と回復の追求を基本テーマにしながらも、様々な角度から薬のことを考え決して答えを1つに絞ったり、白黒を無理につけようとしないところではないかと思います。

人々の体験や反応は「人それぞれである」「人間は皆違う」という原則を認めた上で回復のための出口を見つけていくこと。そのためのガイドブックとしてとても頼もしい情報が網羅されています。

著者の言葉として「僕自身が精神薬を服用していた時にあって欲しかった情報をまとめた」と解説しています。

表紙のイメージや中身のデザインが意味深く作られちょっと暗めなので個人的にはちょっと手に取りにくい感じもあります。

でも精神科の薬について知りたい人は、誰でもダウンロードできますので、一度読んで

みることをお勧めします。

■この冊子と合わせて読みたい
『ゆっくり減薬のトリセツ』『向精神薬7人の断薬ものがたり』
https://lamappa.jp/wp-admin/post.php?post=578&action=edit

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