医療関係者やその周辺の方は、薬を肯定するにしても否定するにしても、薬だけに注目する傾向があると感じます。なぜ薬に注目するだけでは減断薬が難しいのか、私自身の経験や他の当事者の方とお話した経験から書きたいと思います。
薬を飲み始めたのはどうしてだったのか
解決したい悩みやつらさがあったから
解決したい悩みは人それぞれですが、日常生活が難しいほどの状況なら、一般的には病院に行くのは不思議なことではないでしょう。
元気になるために病院に行った
病院に行くこと自体は悪いことではない(と、一般的には考えられている)と思います。多くの人は元気になって元通りの生活がしたいと考えて病院に行くのではないでしょうか。
病院に行ったため薬を飲んだ
病院に行けば、薬を出されるのはおかしなことではありませんし、薬を飲めば病気は治るという考え方は、現状では多くの人が持っていると思います。
薬を飲んだ結果がどうだったか
解決方法は薬ではなかった
長くたくさんの薬を飲んでも元気にならない中で、悩みやつらさを解決する方法は、薬ではなかったことに気がつくことになりました。
もともとの悩みは解決されていない
しかし、薬を飲むことが適切な解決方法ではなかったため、もともとの悩みやつらさは解決されずに続いていることが多いと思います。時間が経って状況が変わったため軽減している部分がある場合もあります。いわゆる「時薬(ときぐすり)」「日にち薬」の効果です。
解決したい悩みやつらさに加え、薬の影響による不快な症状が増えた
長くたくさんの、あるいは、強い悪影響のある薬を飲み続けたことで、もともとのつらさに加え、薬による不快な症状が増えてしまいました。
薬をやめる、減らすということはどういうことか
新たなストレスが加わるということ
もともと解決したかった悩みやつらさが続いている状態で、薬をやめる、または、減らすという新たなストレスが加わるため、薬をやめることへの不安や離脱症状に耐えられる状況にないのが現実だと思います。
何が原因のつらさなのかがわからなくなる
解決したかった悩みやつらさと薬によるつらさ(副作用や離脱症状)を区別するのが難しいため、どの症状が薬によるつらさ(副作用や離脱症状)で、どの症状がもともと解決したかった悩みやつらさなのかわからないのが現実だと思います。
どうすればいいのかわからない
離脱症状だと確信があれば、耐えることもできますし、もともと解決したかった悩みやつらさだと確信があれば、改善することもできるかもしれませんが、つらさの原因がわからないので、どうしたらいいのかわからずに、薬を増やしたり減らしたりしてしまうのが現実だと思います。
最後に
薬のやめ方減らし方が誰にも正確にわかっていないという不安に加え、もとから不安やつらさを抱えている人にとって必要なのは、生きていくことそのもののサポートと気持ちに寄り添うことだと思います。
減断薬に関わる医療関係者とその周辺の方々には、特に理解していただきたいと思うことです。